駄菓子屋前ベンチにて
7月7日


「そーいや今日は七夕でしたっけねィ」

「そーいやそーだなぁ」

「七夕っていやぁ織姫と彦星ですけど、奴らぁ言ってみりゃただのバカップルじゃねーですか。
そんな奴らに願い事して一体どうしよってんですかねィ?わっかんねー」

「そんなん銀さんに聞かれてもね。
とりあえず何でもいいから祈っとけ的な発想じゃあねーの?」

「しっかし、奴らも一年に一回しか逢えないんじゃーとっくに愛想つかしちまってるんじゃねーかな。
遠くの恋人より近くの愛人ってヤツでさァ」

「うっわ夢がないねぇ。
てか沖田くんは恋愛の何たるかがまだわかってねーなぁ」

「あー今ムカっときた。イラっときた。
じゃーなんだってンですかィ」

「いいか恋愛ってーのは一筋縄ではいかないもんなんだよ。
会えない時間が長いからこそ想いが募るんじゃねーの。
日頃逢えないからこそ逢えた時の喜びも一入なわけだ。
感極まって泣いちまうよきっと」

「俺にはよくわかりませんがねィ」

「俺にもわかんねーけどな」

「何でィそりゃぁ」

「アレだよ。だってよ、誰に止められたって逢いたいもんは逢いてーんだよ。
俺なら禁止されようが誰に何言われようが思うがままに逢いにいくね。

逢いたくなったらさ、顔見てーじゃん。触りてーじゃん」

「えらく即物的ですねィ。
てか、旦那の方がよっぽど若けーや。高2の夏ですか」

「銀さん心は永遠のティーンエイジャーですから」

「ただガキなだけでしょう。
まぁ俺もそっち派ですけど」

「だろ?人間我慢は身体に悪りーんだよ。

つーことで、沖田くん」

「はい?」


「明日逢いに行くから」

「…!」


「そういうことでヨロシク」


「…っ全力でお待ちしてまさァ!」



逢いたい時に逢おうや。
せっかく逢える距離にいるんだからよ。
一年に一回とか、そんなんじゃ満足できるわけねぇだろ。


とりあえず、明日は君がこの世に誕生した記念すべき日なわけだし。
全力で祝ってやっから、覚悟しとけよコノヤロー。









おわり。
(2007年7月7日〜7月10日拍手)